塩と泥と眼鏡

浅く広いぬるいヲタクの備忘ログ

私、あなたのことなにも知らないの。

  4月24日、私は今の自担である濱ちゃんに会うために北の地を離れはるばる東京まで飛んだ。偶然が重なって友人に会うことやWhiteの鑑賞会にも参加することもできて、純粋に「彼に会うためだけ」に東京に飛んだわけではなくなった。しかし、あくまでも私の目的は彼を一目まみえることだった。本当に一目しか彼を見ることは出来なかった。舞台上での彼は彼ではなかった。そうだろうな、そうじゃなきゃ舞台を見に行った意味がない。彼は憑依型の役者なのだ。演技をするとき彼は声色から別人になる。たしかにその役に彼の要素もあった。でも、あくまでそれは演出の一つに過ぎない。本当の意味で彼を見たのは舞台からハケる寸前「ほな、おおきに!」と楽しそうに笑ったその瞬間だけだった。

 純粋な舞台の感想は後日別に書こうと思っている*1。シュールな笑いとほっこりとした人情味が溢れるとてもおもしろい舞台だった。良い意味で小劇場演劇に通ずるような舞台である。大がかりな舞台装置などは殆ど無く、簡単な小道具と演者の技量で魅せる舞台だ。座組の雰囲気も良さそうで、ああ、自担はとても良いお仕事をもらえたなあ、と終演後感慨深くなった。舞台を見るその瞬間まで漠然とした不安で、夜しか眠れない日々が続いていたのだが、その時にぼんやりと考えたことがある。そういえば私、濱ちゃんのこと何にも知らないな、と。

 そのことに気づいたのは友人とスカイプをしたときのことである。アイドルの生まれと学歴の話になった時だろうか、調べても濱ちゃんの出身校の名前が出てこない話をしたのだが、冷静に考えてアイドルの出身校がわからないって相当不思議なことだ。大体のアイドルは残念ながら出身校やら最寄駅、ひどい人は大体の家の位置まで"ファン"によって暴かれてしまう。善意であれ悪意であれ誰かがそれをうっかり溢すのだ。恐ろしい世界だ。そんな世界に身を置きながら公式で話したことぐらいしかわからないのだ。姫路の山奥で生まれ育ったこと、末っ子であること、クリームシチューが好きなこと、お酒は弱くてウーロンハイやシャンディガフを飲むこと、白蛇に守られて生まれてきたこと、そういうキャラクター的な事項はわかる。でも、彼の生活はあまり見えてこない。どんな家に生まれ、どんな学校に通ったのか、どんなお店が行きつけで、どんな料理を食べるのか、なんてことを彼は話さないし誰もこぼさない。アイドルの鑑だと思う。でも、何もわからないことが彼の人間らしさをそぎ落としているように見える。

 ジュニアの頃から変わらない受け答えが恐ろしい。おそらく彼は常にアイドルという着ぐるみを纏っているのだろう。その中身は絶対に見えないようにぴっちりと閉じられている。それか彼はアイドルという役を破綻無く演じ続けているのかもしれない。そのキャラクターはある時からずっと変わらないままあり続け、それをずっと使っているように見える。"優しくてみんなのヒーローの濱ちゃん"はおそらく虚像なのだ。時々闇の深い発言をするが、それもそのキャラクターなのかもしれない。"濱ちゃん"にとってのアイドルはきっと関ジャニの丸山くんだろうから。
 
 私は彼の何を知っていて何を知らないか。おそらく何も知らない。それでいい。それでいいのだ。知らなくても彼の魅力は理解しているし、何より、彼に焦がれてしまっているから知らなくても盲目的に愛せてしまうのだ。
 
 

*1:ホットパンツの妖精の話をとりあえずしたい。♪何故にあなたはホットパンツ〜